まさに、俺たち家族の現状である番組名で。
『愛情のなかった家族』
いや、俺の家族は過去形じゃなくて……『愛情のない家族』だ。
これからも、一生。
俺たち家族に、“愛情”という言葉ほど縁のない言葉はない。
もちろん、復活なんて不可能だ。
それは分かりきってる。
俺なんて、疫病神だし……。
――でも。
その映像を見て、ふと思い浮かんだのは――。
「先生……」
「…何だ」
親父でも、お袋でもなく。
叔母さんでも、他の誰でもなく。
「俺……妹が、いたんだよ……」
――なっちゃん、だった。
俺の記憶に、さよならしようと思っていた妹。
叔母さんに引き取られた、実の妹。
「……妹?」
3分、とっくに経っていた。
きっと麺は、伸びきっているだろう。
「うん……。俺が小さい頃に、叔母に引き取られて……。そんときはまだ名前も決まってなかったんだけど…、多分、“なっちゃん”って呼ばれてる」
先生は、どさくさに紛れて、テレビを消した。
俺もあえてそこには突かなかった。
でも。
テレビを消してからも
頭の中は、なっちゃんでいっぱいで。
「俺たち……引き裂かれたんだよ。最悪な大人たちに」
俺に何も告げず、引き取っていった叔母さん。
その事を俺に教えてくれなかった、お袋。
親父。
こんな大人たちに囲まれながら、俺は育ったんだ。
周りがもうちょっといい人だったら、俺の人生も変わってたのかもしれない。