「おっ!カップラーメン発見!ケーゴ、これ食べていい?」
「はぁ!?それは俺のだっ!!」
「えー?じゃあ、仲良く半分こ♪」
「……ざけんな」
そんな些細な言い合いでも。
親父となんかしたことないし。
新鮮で、嬉しかった。
内山先生は、何ていうか……俺で言う、“理想の親父”って感じかも。
うん。
――こんな人が、家族であって欲しかった。
「あーあっ。お腹すいたなぁ。ケーゴだけ、いいなぁ」
「……ここ、俺んちだし」
「あーあ。いいなぁっ」
「……」
「あーあっ。腹減ったー」
「……だ―――っ!あーもーっ、分かったよっ!分ければいいんだろ、分ければっ!」
そんなこんなで、1時間が経過。
やっとお湯を沸かして、カップにお湯を注いだ。
リビングに座って3分待っている間に、またまた先生は勝手にテレビをつけ始めた。
「何か面白い番組あるかなー」
「……」
…いや、もう別に反論はしない。
めんどくせぇ……。
いろいろチャンネルを変えてみて、ふと、目に止まった番組があった。
――泣いている、高校生の女の子。
――その子を抱きしめて泣いている、母親と父親。
―――そして3人は、笑い合い。
…その光景は、何とも言えないぐらい暖かく感じた。
「……」
画面右上に書かれていた、その番組の名前は。
「……ケーゴ」
――『愛情のなかった家族の奇跡の復活!- We wish -』。