――――――――
――――
「……ったく、お前んちの冷蔵庫は何も入ってないのか」
「うるせぇよ。んなこと言うんなら、今すぐ帰れ」
「何だ。ケーゴのくせに、生意気な」
「頼んでもないのに、人んちに上がり込んで、ここまで馴れ馴れしくしているのはどっちだ」
「そんな悲しいこと言うなよ。僕たちは友達だろ?」
「友達になった覚えなんてねぇ」
――日曜日のお昼。
こんな休日の昼間っから俺んちに勝手に上がり込み、冷蔵庫の中を探り始めた
のは――大阪市立病院のナンバーワン医師、内山大智先生だ。
先生と俺は、何ていうか……微妙な関係になっていた。
いや、仲がいいってわけでもないし、ただの医者と患者ってわけでもないし。
先生は、俺のことを“友達”と思っているらしいが……断じてそれはない!
――あの、色々あった日から、早1ヶ月が過ぎていた。
あの後、レントゲンを撮ったら――結局、骨折していて。
内山先生が言うには、奥の方の骨までは折れていなかったらしい。
でも手前の骨は結構折れていて……全治2ヶ月。
あの親父の力で殴られてこの骨折は、全然軽いほうだ。
まあ、俺から言うと――不幸中の幸いってとこだな。