――どうして。
先生は、あたしの心が読めるの?
何もかも悟られている先生に対して、少し悔しさがこみ上げてきた。
こんな時まで素直じゃない、あたしの性格。
こんなあたしなんて、大嫌いだ。
結局その質問に対しては、返事はしなかった。
「……」
「…ハハッ。その反応を待ってたよ。ルイちゃんは、分かりやすいな」
……何よそれ!
もうヤダ!先生は意地悪だ。
何だか、恥ずかしくなってきた。
多分今のあたしの顔、真っ赤になってると思う。
一応布団の中に入っているから、先生にこの顔は見られていないってことだけは、安心。
……でも。
やっぱり――圭伍くんが、気になってしまって。
先生の言う通りになっているってのは悔しいけど……それは、事実で。
「……じゃ、ゆっくり寝ててね。僕は行くから」
「……内山先生の、意地悪」
「ハハッ。それは良かった。それでいいんだよ、ルイちゃん」
「……何それ」
「バイバイ」
「……」
――ガラガラッ――
ドアの閉まる音がした。
内山先生が、出て行った音だ。
そしてあたしは――また一人ぼっちで。
先生が出て行ったことによって、病室が、一段とまた静まり返った。