「……ルイ。ほら、内山先生からの手紙よ」
「……うん」
あたしがこの世で一番大嫌いなもの。
毎日ママが中身を確認する―――郵便受け。
郵便受けなんてなければいいのに。
これがあるせいで、あたしはいつも現実に戻される。
嫌なことを忘れて楽しく過ごしてても、この郵便受けのせいで、あたしの心は一瞬で打ち砕かれる。
近くの大阪市立病院から1週間に2回ほど届く手紙は、あたしの専属医、内山先生からだ。
「……ルイ。内山先生はね、ルイを思って―――」
「大丈夫。わかってるよママ。あたし、内山先生大好きだもん」
「ルイ……」