前回の続き



Episode1~灰色の僕~


季節は夏、少し外に出ただけで汗をかくような暑い日々。

もうすぐ夏休みということで、学生たちがお互いの夏休みの予定を楽しそうに話している。

「何がそんなに楽しみなんだか…。」

と、つぶやくのは宮田 那津(みやたなつ)都内の公立高校に通う15歳。名前だけ聞けば、女の子と間違えそうな名前だが、正真正銘の健全な高一男子である。

「あー…あっつ…明日あたり地球滅びないかなぁー…」

『なーに物騒なこと言ってんだよ!那津!』

そう言って僕と肩を組んでくるのは、佐枝 功太(さえこうた)。こいつがいうには僕の親友らしいあいつの自称。大切なことだからもう一度言っておく自称、だ。

「暑くるしい。離れろ功。」

『え~?俺とお前の仲だろ♪いちゃついたっていいじゃーん♪』

そういってもっと腕を絡めてくる。

「キモい、死ね。」

『死…?!え?ちょっひどくね?!まぁ、そんなとこも好き~(笑)』

なんだこいつ、Mか!というツッコミを心の中でして僕はこいつをほっといてスタスタと歩いて行く。

どこに?そんなの決まってるだろ?学校という名の将来に役立つかどうかも分からない数式などを毎日のように見せ、このときの作者の気持ちを答えなさい。という、そんなのしるか!という意味分からん問題を出す恐ろしい施設だ。

『ちょっと待てよ~!』

必死で追いかけてきている奴は無視して、また今日も楽しみも1つもない僕の日常が始まるー…

予定だった。

    




あぁ、人間は残酷だ。