「ほれ見ぃ、天女が空で舞ってるわ、やい」



 老人は、点滴が繋がる腕を上げ、空を指差し・・・


 「・・・そうですね」


 私は泣き笑いでそれに答えた。




 空を吹きわたる風、お願いだから。
 雲の中にある天国に続く路を閉ざして欲しい。


 もう少しだけ、天女の舞い踊る姿を、見ていたいから。