「近衛兵ってのはなぁ、背丈がみんな揃うように集められたんだ。見た目が大事だからなぁ、男前ばっかしでな。だから、わしは近衛兵だぞって言うとそりゃあ女がほっとかなかったわ、やい」


 老人は快活に笑った。

 「じゃあ、奥さん候補はあまたいたんでしょうね」


 「そいつぁ一人だけよ」


 秋の爽やかな風が一陣、老人の頬を撫でて吹き去った。


 「涼しかったらお部屋に戻りましょうか」


 「あいつが死んだのは、秋だったなぁ、やい」