朝食の後CTとMRIの検査を受け、検査室のある旧棟から渡り廊下を通り病棟へ向かった。




 老人は車椅子を押す私の事を、おっかさまではないと理解している様子ではあるが、では誰なのかということは認識できていない。




 妻でも子でも、孫でもない。
 誰だかわからないが話し相手にはなる、そう思っているらしい。




 「入浴まで時間があります。屋上に行ってみますか」


 私は、老人を屋上庭園に連れ出した。