「赤ワインは血と似た様な感じだからねっ」
「へ、へ~…」
余り知りたくない情報だと内心由希は思ったが、それは敢えて言わなかった。
そしてリズシアが何度も言っている、自分はヴァンパイアだと言う事にも、由希は余り信じていないのが現状だ。
乙女ゲームが好きな由希は、勿論そういう類いのゲームをしたりもした。
ゲームをしている時は本当にこういう人が居たら良いのに。や、この世界に行ってみたい等思う事もしょっちゅうだった。
だがそれとこれとは話が別である。
どんなにファンタジー系が好きだと言っても、こういう人が居たら良いのにと思っていたとしても、突然ヴァンパイアだと言われ目の前に現れても、はいそうですかと簡単に信じられる人は居ないだろう。
流石の由希も、リズシアの言葉には信じられずに居た。
「あれ? 何そのネックレス。あの時はそんなの付けてなかったよね?」
ゴクリと喉を鳴らしワインを飲んだ後、コップを揺らし中のワインを回転させつつ、左手で由希の着けているネックレスを指差す。
「こ、これは…凌空の誕生日にあげたネックレスとお揃いので…」
「ふーん。蛇と蝶、ねぇ~?」
コップを揺らす右手はそのままに、組んだ足の上で頬杖を付き興味深そうにネックレスを眺めるリズシアに、ネックレスを見つめはにかんでいた由希は気付かない。