「だからか」と納得した凌空は、ネックレスを上にあげ眺めた。
ヒサちゃんとは由希の母親の兄で、名前は永人(ひさひと)という。永人はオリジナルのシルバーアクセサリーのショップを持っており、工房も有りお客の要望に答え造ってくれるのだ。
幼い頃から由希と共に遊んでもらっていた凌空も、永人を兄の様に慕っている。
「でも本当はね、その蛇の目に埋め込まれてる赤い石、ルビーにしたかったんだけど、お金なんて全然足りなくって。ヒサちゃんが赤いガラスを入れてくれて、これで我満しろって!」
不満そうに頬を膨らませぶつぶつ呟く由希に、
「ルビーなんて無理に決まってんじゃん、そんな安い物じゃねーんだから…」
と凌空は肩を竦め、だが「ありがとな」っと由希の頭を撫でた。凌空に大人しく頭を撫でられている由希は嬉しそうに頬を緩ませる。由希は凌空に頭を撫でられるのが好きで堪らないのだ。
その後、横に置いたままの箱を手に、凌空は中からもう一つのネックレスを取り出す。