何時も綺麗に片付けられていた部屋が、まるで荒らされたかの様に物が床に散乱している。
「り、く…?」
部屋の中を見渡した後、ベッドの上で片足だけを立て、その足に片手と頭を預け壁に凭れかかっている凌空を見付けた由希は、そっと近付いて声をかけた。
カーテンが閉まり薄暗い室内によって、由希はベッドにいる凌空の姿にすぐ気付く事が出来なかった。
ベッドに手を付き片足だけ乗せた状態で凌空の様子を伺うと、凌空が由希の存在に気付いたのかゆっくり腕に乗せていた顔を上げ、目の前にいる由希を見る。
「…由希? なんで、ここにいるんだよ」
「え、あ…。も、もう朝なのに凌空が全然起きて来ないから起こしに来たの!」
上げた凌空の顔は疲れきった様に生気がなく、声にも張りがなく寝ていないのが見てとれる。
そんな凌空の様子に由希は慌てて顔に笑みを浮かべ告げたのだが、凌空は「そうか」とそれだけを言い目を伏せてしまった。