その感触に、凌空に首筋を舐められたんだと知った由希の顔に一気に熱が集まる。

由希が混乱している間にも、凌空は何度も首筋に舌を這わせ、その時尖った牙が首筋にあたりチクリと痛みが走った。

その痛みに由希は我に返る。


(あの男の人は言っていた、ヴァンパイアだと。そして凌空を仲間にするとも…
じゃぁもし、今の凌空がそのヴァンパイアだったら、首筋を舐めるのって――)


「い、いや、だ! 凌空やめて!」


赤かった顔は状況を理解した瞬間熱が一気に引き、由希は嫌だと首を振り首筋に顔を埋めている凌空を退かそうとする。

由希は、分かってしまった。

何故首筋なのか、それはヴァンパイアが欲する物、それは――血。

暴れる由希を気にもせず、凌空はピチャリと水音が聞こえる程しつこく首筋を舐めている。

聞こえるその音に、由希は恥ずかしくなり顔を赤く染め、振り解こうと尚も暴れる。