「いいんだよ? 荒川凌空。自分の欲望のままに、その首筋に喰らいつけばいい」


音もなく凌空の背後に立ち耳元で囁いた瞬間、ごくりと凌空の喉が鳴ったのを由希は気付いた。

徐々に荒くなる息は先程までとは違く、苦しんでいるというよりも、どこか興奮している様だ。

赤い瞳は更にその赤みを増し、掴む腕は力強く握られ骨が軋み、その痛みに由希は顔をしかめた。


「っ、い、たっ。り、く!」

「ほら、欲しいんでしょ? 早くしないと…誰かに取られちゃうかもよ?」


男がそう言ったと同時に、凌空は腕から逃れようと暴れる由希の体を押さえ込む様に体を押し付けて、由希の露わにされていた首筋に顔を埋めた。

さらりと擽る凌空の髪と息に身動ぎしたその時、ぬるりとした生温い感触が首筋に起こり、由希は小さく悲鳴を上げてしまう。