「ね、ねぇ凌空! どうしたの?!」
「は、ああ…。っ、わ、かんねぇ…」
苦しそうに顔を片手で覆い、隣の由希に苦笑いを向ける凌空に、由希は衝撃を受ける。
(こんな凌空…見たことない。)
生まれた時から一緒にいた凌空の、こんなにも弱っている姿を由希は見たことがなかった。
風邪一つ引いたことがないと言っても良い程、体の強かった凌空。
そんな丈夫な凌空が、今はよく分からない物によって苦しめられている。
凌空が今も苦しんでいるのに、何も出来ない自分に由希は歯痒さを感じていた。
「あ、あの! 凌空を…凌空を助けてくださいっ」
「ゆ、きっ。おま…何言ってん、だ…!」
「だ、だって凌空が!!」
自分では凌空を助けることが出来ないと思った由希は、机の上に足を組んで座っている男に助けを求めた。