「あ、あの…どうしたんですか?」
ハートのクッションを抱き締めながら、由希は遠慮がちに尋ねる。
「んー? ああ、そろそろ異変が起きても可笑しくないって話。あ"ー、だから人間は面倒だなぁ、それぞれ時間が違うから。まぁー俺達も変わんないか!」
「あ、あの~…」
一人でぶつぶつと文句を言ったかと思うと、今度はケラケラ笑い出したその男のに、由希は様子を伺いながら声をかけた。
「さっきからずっと気になってたんですけど、"人間"とか、"俺達"とかなんで区別するんですか? あなたも人間、なのに…」
ね? っと凌空に同意を求めようとした由希だったが、
「あ、あははははは!!」
男の笑い声で固まった。
「俺が"人間"? この"俺"が? くくっ、人間のお前達となんか一緒にしないでほしーなあ。さっきも言ったよね? 俺はヴァンパイア。人間なんかとは比べ物にならないほど、高貴な存在」