「あはははっ。さっきまであんなに泣いて怯えてたのに、もう元気になっちゃったの? ほんとキミって変わってるよね。あー可笑しい」

「あの時、の…人…?」


目尻に溜まった涙を拭い髪を掻き上げたその男は、驚く由希に向かいニヤリと妖しく微笑した。


「ね、ねぇ凌空、なんであの時の人がここにいるの?!」

「俺が分かる訳ないだろ?!」

「もしかして泥棒?!」

「それは絶対にない!」


目を回すほど混乱している由希に対して、凌空は冷静に由希のボケに突っ込みを入れている。


「その前に、なんであの男があの時と同じ姿でいるのか不思議がれよ! そこがまず最初だろ?!」

「あ! そういえばなんで?!」


凌空の言葉に驚き、目を見開き腕を組むその男を見る。


「"なんで"? 今更だね、キミがさっき言った通りだけど?」

「え…やっぱり泥棒?!」

「違う違う、もっと、ま・え」

「まえ?」