「ヴァ、ヴァンパイアになってない?! 大丈夫?!」

「だからヴァンパイアってなんだよ…」


何時の間にか涙が引っ込んでいる由希に安心しながらも、突飛な事を言う由希に凌空は頭を抱えたくなった。


(何処をどう間違えたらヴァンパイアなんて単語が出て来るんだよ、ゲームのやり過ぎか?)


今も慌てている由希を眺めつつ、真剣に考え込んでしまう凌空だった。


「だ、だって私の所為で凌空が!」

「何言ってんだよ、俺はあの訳分かんねぇ男から庇っただけだろ?」

「だ、だからその所為で凌空がヴァンパイアになる、って!」


凌空の体をあちこち触り異常がないかチェックする由希の行動に、凌空はやめろと私の頭を小突く。

その時、今まで黙っていたあの男が、


「くっ…。あは、あはははは!」


部屋に響き渡る程の音量で笑い出し、その笑いはどこか人間めいていた。

何が可笑しいのか、高笑いの如く笑い続ける男に、由希も凌空も呆気にとられる。