「な、なんだよ…今の――」
頭の中に映像として流れて来た出来事に、凌空は痛む頭に触りながら混乱していた。
幼かった由希と凌空が公園で遊んでいた時、突然現れたマントを着た男は、見るからに怪しかった。
しかし警戒する凌空とは対象的に、由希はその男に興味津々であった。
元々好奇心旺盛だった由希は、不思議な雰囲気を漂うその男を遠目からちらちらと盗み見ていた。
そんな由希の元に、その男は少しずつ近づいて来て、由希に笑みを浮かべ手招きして来る。
優しそうなその笑みと声色に、由希は近付いて行ってしまった。
だがそれに危ないと思った凌空は、由希をマントに隠そうとしているその男に突っ込んで行った。
そして次の瞬間、凌空は首元に感じる痛みと共に、しかし映像はそこで途切れた。
最後に見たそに男はーー
「やっと、思い出した?」
今目の前にいる、その男であった…。