「そんなに目、酷いなら…寝ていいよ?」
「急にどうしたんだよ…」
先程まであれだけはしゃいでいた由希が一変、眉を寄せ凌空の様子を伺っている。
それには凌空も、きょんとし目頭を押さえていた手をそのままに隣の由希を見つめた。
「だって、目痛いでしょ? 私が十二時までにクリアする、なんて言っちゃから…」
俯いて目を伏せた由希に、凌空はそんな由希の頭に手を置いた。
見上げれば、顔には困った様な笑みを浮かべている凌空の姿。
「何落ち込んでんだよ。たく、はしゃいだり落ち込んだり忙しい奴だな~」
「…だって」
ちらちらと頭を撫でられながら凌空の表情を伺う由希が、凌空は愛おしくて堪らない。
人を振り回す様な、自分勝手な事をしたかと思えば、今度はやり過ぎたと落ち込み人の顔色を伺う。
昔から変わる事のない子供っぽい由希に、凌空は嬉しかった。
「目なんて乾いただけなんだ、もう痛くねーよ」
「ほんと、に…?」
「本当だって! 俺の事、信じらんねーの?」
「う、ううん! 信じる!!」
「ならもうこの話は終わり!」