「男が頑張れるのはさ、自分の帰る家があるっつー事なわけ」
「う、うん…」
「それで、その家に帰りを待っててくれる奴がいるとマジ良いわけ!」
「う…うん?」
「それがすげー美人な奴だったら最高だろ! 疲れて帰って来たら、美人な女が出迎えてくれんだぞ? これこそ男の夢!!」
「……」
フォーク片手に熱く語る凌空に、最初は関心していた由希だったが、段々話が違う方向に進んで行ってるのを感じ、由希は面白くないと眉が寄り、口が段々尖り始める。
「それってさ、男心じゃなくて…凌空の願望じゃないの?」
「んなわけないだろ、男はみんな大体こんな事思ってるもんなんだよ!」
「そうかなぁ…。凌空だけだと思うけど?」
ギロリと軽蔑を含んだ目線を送る由希に、凌空は心外だと肩を竦める。
それでも由希はなんとなく、隣に座る凌空との距離を少し空けて座り直した。