「ど、どれ選んだ?! どっち?!」

「"幸村の言う通りお城に残る"」

「えぇぇえ!! なんでそれにしちゃったの?! セーブは?! セーブはちゃんとしてた?!」

「セーブなんてしなくても大丈夫だって」

「ハッピーエンドじゃなかったらどうするの?! また最初からやり直しだよ?!」

「大丈夫大丈夫」


焦る由希を横目に、凌空は大丈夫だと物語を進めて行く。そんな冷静な凌空とは対照的に、由希は内心大丈夫な訳がないと不安だ。

たかがゲームだと思うだろうが、由希にとってはたかがではない。

一つの選択肢で、その後の物語が大きく変わってしまう。

それはまるで――天国から地獄の様に。

呑気に鼻歌を歌っている凌空を横目に、由希はガクッと肩を落とした。


だが数十分後、エンディングが流れるテレビ画面を見て、由希は目を瞬く事になる。

そんな由希の隣では、凌空が誇らしげな顔で驚く由希を眺めていた。