「そんなじめじめしてんなよ、頭にキノコ生えてくるぞ?」
「だってさ~…」
「ゲームやらねぇなら帰るからな!」
「それは駄目!!」
言葉の通り立ち上がり窓に向かおうとする凌空に、由希は瞬時にその腕を掴み引き留める。
(凌空が帰っちゃったら計画が台無しになっちゃうよ!)
なんとしてもこの計画は成功させなければならない由希は、キノコが生えそうだった雰囲気を蹴散らす。
いつも通りに戻り何故か必死な表情で自分を引き留める由希に、凌空は仕方ないなという顔で、それでもどこか嬉しそうな表情を浮かべ、また由希の隣へと腰を落とす。
「帰るなんて冗談に決まってんだろ。俺まだバームクーヘン食ってねぇし」
「やっぱりバームクーヘンなんだ…」
ぷいっと顔を逸らしそう告げた凌空に、帰らなかったのは嬉しかったが、どこまでもバームクーヘンしか頭に無い凌空に、冗談でも一緒にいたいからと、内心由希は言って欲しかったとむくれる由希。
ぷくりと頬を膨らませ、由希はまたゲームのコントローラーを握る。
ーーー…