「えっ、ここ?」

私はさっきから何回同じセリフを言っただろうか。

「だーから、そーだって。早く入ってよ。時間なくなるでしょ」

佐久間が金持ちだってことは知っていた。でもここまで豪邸とは…。

私は恐る恐る佐久間の家に足を踏み入れた。

入ってみると誰もいる気配がない。


「あれ、お父さんたちいないの?」

「あぁ。俺ここで一人暮らしだから。」

えぇーー。
嘘でしょ。
待って.1つ屋根のしたで2人きり?

「あ、今…へんなこと考えたでしょ?俺、何もしないよ?」

クスリと笑い佐久間は自分の部屋へと進む。

「そ…そんなこと考えてないし。逆に佐久間が考えてんじゃないのー?」

必死に平然を装い佐久間の後を追うように階段をのぼる。