「だって、天翔!!」


「いいんだ」


不服そうな優実を止めて、俺は美桜に視線を向けた。


美桜は今にも泣きそうな表情をしていた。


「美桜…」


俺が口を開くと、美桜は俺を真っ直ぐ見つめた。


「ごめん…」


俺が俯くと、美桜は信じたくないといったように目を閉じた。


「……ざけんな」


聖夜と美桜の体が、小刻みに震える。


そして聖夜は、もう一度俺を殴った。


「……ッ」


口の中に血の味が広がる。


そして聖夜は聞いたこともないような、冷たく低い声で言った。


「お前がそんな最低なやつだとは思わなかった」