なんだぁ、それ。僕は神じゃないから救えないぞ。つーか、何、木野、まさかのまさか、僕が好きなの?いや、それはないだろ。僕と系統違うし。
「なんで、僕なの」
「菊池くん、今年の春、ここでセックスしてたっしょ」
びっくりした。え、つーか見られてたの?気付かなかった、し。先生、こなかった、し。あのとき処理はどうしてたんだっけ。感覚しか覚えてない。男なんてそんなもんだ。とくに、好きでもないやつとするときなんかは。
「あのセックスには、愛がなかったね」
ほっとけよ。だから、なんだ。リストカットに関係あんのか。
「うち、今、すげー好きな人いるんだけど、菊池みたいに私と寝るよ。それでもしてしまう。心がだめなら体だけでも、ってうちは考えてたんだけど、それはうちにとって悲しくなることでしかなかったんだぁ。名前、呼んでくれないし。好きって言葉も虚構のものでしかなくって」
「つまりは、僕みたいに女の子を抱くと木野みたくリストカットしちゃう子がでるから愛してからセックスしてね、って言いたいわけだ。」僕なりの解釈を言えば木野は、
「ん?や、そーゆーわけじゃないけど」
一体なんなんだ。