ビルに入ると、昼間なのに薄暗いのがわかった。


「かわいーじゃん、さすが陵」


「はじめまして、セキさん」


前写真で見たより目付きが悪い。



右瞼には絆創膏がしてあるから、かな。


「…彼氏は?」


「…と、飛びげりして……何て言うか」



セキさんは目の色を変えずに笑った。


「何、アツたちとも仲いいの?」


「友達です」


こっちに来るので身構えると、その手を掴まれて下ろされた。



「気張らないでよ、俺は復讐したいだけ」



「え、ださくないですか」


セキさんの眉がピクッと動く。



「…いまどきの人がそんな復讐なんて言葉使うんですか」



この位置なら、蹴れる…



一瞬で、何がなんだかわからなかった。



殴られました?あたし