隆裕に追い付くのは絶対無理だけど、 隆裕に追い付こうとするのは無理じゃない。 隆裕がくしゃ、と笑った時 携帯が鳴った。 それは陵くんからで、あの時以来だった。 『もしもーし、秋穂ちゃん?』 ………誰!? 「え、ちょ、誰ですか」 『セキっつーんだけど、陵から聞いてない?』 セキって陵くんのお兄ちゃん!? え、あたしの名前知って…? 『陵の電話帳に唯一残ってる女だったから』 隆裕が首を傾げた。