あたしはテーブルクロスを掛けながらアレクに話しかける。



「アレクってどうして遠くからこの店に通ってるの?」


「…ん?なんでだろうな、たぶんガキの頃に両親がよくこの店に来てたからかな」


「常連さんだったんだ」


「んまぁ、そんなとこかな」


「アレクは偉いよね、そういうこと考えてて」


「でも両親居なくなってからこんなことしても親孝行にはならねぇしな」


「そんなことないよ、もしあたしが両親だったら嬉しいよ?」


「なんだよ、それ。お前はいつから俺のお袋になったんだよ」


「だから、もしもって言ったじゃない」


「ははっ!…本当にお前って面白いよな」



アレクは笑いながらカウンターに戻る。



「ちょっと!笑いすぎだよー」


「そんなに笑ってねぇよ…っは」


「笑ってるじゃない!」



アレクとあたしはいつもこうなる。
兄弟みたいに言い合う仲。




仕事も無事終え、閉店させた。