学校に着き、授業を受けて、やっと放課後。


そろそろ入る部活を決めないといけない。
まあ、陸上ってとこ？
もともと足は速いし。


そして今日はクラブ見学の日。

私は体操服に着替えて陸上部が活動しているグラウンドへ向かった。

「入部希望者？じゃあ、そこのベンチに座って見学してて。」

顧問らしき女の先生が話しかけてきた。

「はい。」

返事をしてベンチの端に腰かける。

ふと気づいたら、男子部員が私を見てなんか話している。

はいはい。私だって自分がかわいいことくらいわかってるっつーの。

くりくりっとしたアーモンド型の目、トロトロっと色のいい唇。それに流行りのショートヘア。どう？完璧でしょ。

そんなことを考えていると隣に女の子が座ってきた。
反射的にその子を見ると、なんと朝見かけたあのロングヘアの子だ。

私と正反対で、切れ長の目にスラッと高い鼻。それにアヒルがかった薄い唇。
可愛いというより美人と言った方がしっくりくる。

「あなたも陸上部に入るの？よろしくね。」

高いハスキーボイスでその子が話しかけてきた。

「うん。よろしく。あの、名前は？」

「あ、ごめんごめん。私は神原。神原魅畝(かんばらみほ)。あなたの名前は？」

「へえ〜。神原さん。私は仲原絢女。」

「魅畝でいいよ。」

「じゃあ、私のことも絢女でいい。」

「よろしく。絢女♪」

彼女は嬉しそうに話しかけてくれるが、私はライバル視してしまう。

いい人だからこそ、余計に。