何処へ行くでもなく歩いていた僕はいつの間にか桜並木に立っていた。


 そんな自分が何だか可笑しくて苦笑いが込み上げてくる。


 「結局僕はここに戻ってくるのか――」


 去年とも一昨年とも、来年とも再来年とも違う今年の桜は悠然と咲き誇り、その花びらを降らせている。


 13年前と何も変わらないようで、全く違う桜雨――