きっと茜にはそうゆう人こそ相応しいと思う。茜が合わせるのではなく、合わせてくれる人。


 僕は涙を流す茜に背中を向けて玄関へと向かい、靴を履いた。


 目の前にある扉を開けて、一歩踏み出せば僕と茜は終わる。


 ドアノブを握り、ゆっくりと回す。


 カチャ


 と鳴り、重たい扉を押し開ける。


 まだ肌寒い夜気が流れ込んで来て、肩を竦めながら僕は一歩踏み出した。