こんな場面は今まで何度も経験してきた。

だから、角が立たずイメージを崩さず、上手に断ることなんて慣れっこのはず。


なのに、最近のあたしはおかしい。


『可愛い美砂ちゃん』として、うまくあしらうことができなくて。


「えっと……今はあたし……」


言葉を探して目を泳がせた、そのとき。


二階の窓からこちらを見おろす視線に気づき、心臓が大きく跳ね上がった。


晴人……!


窓のふちに頬杖をついて、無表情であたしを見ている晴人。


あたしはとっさに目をそらした。