「そ、そんな……あたしは別に……」


通学路だから周りには同じ学校の生徒もいて、野次馬の視線が送られてくる。


その視線のほとんどがあたしに同情的で、今の状況は『女子に妬まれてイジめられる美砂ちゃん』という構図になるはずだった。



そう、女子があの言葉を発するまでは。



「てゆーか、そのブリッ子やめてくれる?
ねぇ、オヤジ」



――ドクンッ、と心臓が嫌な音をたてた。


な、なんで……?
なんでそのあだ名を知ってるの……?


「晴人くんも本気でオヤジ女なんか相手にするわけないでしょ。からかってるんだよ」