「ごめんなさい。今はあたし、誰ともお付き合いするつもりないの」
ウルウルと瞳に涙をためて言うと、目の前の男子が真っ赤な顔で首をふった。
「いや、いいんだ。ダメもとで告白したんだし……。
あのっ、もし気が向いたら、これ俺のメアド」
「うん……ありがとう」
渡された紙を受け取ってお礼を言う。
そっと涙をぬぐいながら、健気に微笑むことも忘れずに。
「じゃあ」と男子が去っていくと、中庭にはあたし以外誰もいなくなった。
そして、静かなその場所に響いたのは
「……ふん」
ガラリと態度を変えた、あたしの声。
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