久しぶりの千秋やトモとの会話に花が咲き、目的地の遊園地までは、二時間といってもあっという間だった。

…この遊園地は、高原というか牧場というか、そういうのとアトラクションが一緒になったような感じだ。

牛が草を食んでいるのんびりした風景もあれば、観覧車やジェットコースターもある。

トモは一目散に、千秋のお父さんと一緒にアトラクションの方へと走っていった。

「まだまだ子供だなぁ、トモは」

俺は苦笑いする。

さて、俺はどうしようかなと思っていると。

「こうちゃん」

隣で千秋が、俺の服の袖を引っ張った。

「あ、あれ…千秋…」

てっきり、一緒にアトラクションの方に行ったかと思っていたのに。

「私はもうああいうのは卒業したの」

クスッと笑う千秋は、確かに俺の知ってる千秋よりも大人びて見えた。

「じゃあ…」

ポケットに手を突っ込み、千秋とは目をあわさないまま。

「その辺、ブラブラしてみる?」

照れ隠しに、そっけなく言ってみる。

「うん」

千秋が元気よく、頷く気配がした。