やっとトモの準備が終わり、いよいよ遊園地へと出発。

俺と千秋、トモは、千秋のお父さんの運転する車に乗り込んだ。

遊園地までは、二時間ほどのドライブだ。

トモが助手席に、千秋と俺が後部座席に座った。

…道中退屈しないように、千秋がお菓子やジュースをいっぱい持ってきていた。

こういうところは相変わらずしっかり者の千秋。

すっかりお姉さんが板についてきた感がある。

俺がお菓子をつまんでいる間、千秋は隣で缶のオレンジジュースをちびちび飲んでいる。

と。

「こうちゃん」

千秋が缶を俺に差し出してきた。

「飲む?」

「え…」

俺は、少し躊躇した。

…千秋、わかってる?

間接キスだぞ、これ…。

「…いらない?」

千秋が少し表情を曇らせる。

ここで断るのって、『お前が口をつけた缶ジュースなんて飲めるか!』って言ってるみたいか?

断る方が失礼か?

なんか妙な考えが頭の中をぐるぐる回る。

ええいっ、めんどくさい!!

俺は千秋の手から缶を受け取り、ぐいーっとジュースをあおった。

…ジュースは何だか、ジュースの味以上に甘酸っぱい気がした。

そんな俺の考えを知ってか知らずか。

「美味しいでしょ?」

千秋はニッコリ微笑んだ。