千秋のお父さんは、俺の目標みたいな人だ。

その目標の人に、気にかけてもらえていたというのは、とても嬉しい。

なのに。

「私もね…こうちゃんの事気にしてたんだよ?中学に入って、こうちゃんとあんまり話とかできなかったし…」

千秋は、もっと嬉しくなるような事を俺に言ってくれた。

「トモが言ってた、私がこうちゃんに会いたがってたって話…嘘じゃないかも…」

「え…」

どうしたんだよ、千秋。

そんな、女の子っぽい事言って…。

この間まで、年上の男の子と取っ組み合いするような、気が強い子だったじゃないか、お前…。

いつから、こんなドキドキするような雰囲気作れるようになったんだよ…。

「……」

俯き加減で俺を見てはにかむ千秋は、メチャクチャ可愛くて…。

俺は困ってしまって目をそらして。

「……」

陰に隠れてニヤニヤしているトモと、目が合った。

「ト…トモ…?」

「いい雰囲気だねぇ、姉ちゃんにこうちゃん」

「こ、こらーっ!!」

真っ赤な顔をした千秋が、声を張り上げて怒る。

そのいつも通りの千秋の姿に、俺はほっとしたような、残念だったような…。