準備も心構えもできないまま、あっという間に日曜日がやってきた。

朝八時に、俺は千秋の家に到着する。

チャイムを鳴らすと…。

「おぅ、おはようこうちゃん」

玄関先で俺を出迎えてくれたのは千秋のお父さんだった。

「久しぶりだな。だいぶ背、伸びたんじゃないか?」

「お、お久しぶりです…」

相変わらず目を細めて笑う、優しそうな千秋のお父さん。

自然とこっちまで顔がほころぶ。

そばにいて安心できるのは、頼もしいと思える人だからだろう。

そのお父さんの背後から。

「…おはよう、こうちゃん…」

千秋が顔を覗かせる。

「……っ」

いつも活発な千秋が、今日に限ってスカート。

女の子らしい服装に、思わず胸が高鳴る。

「おめかししてるだろう?こうちゃんと遊びに行くんだからって、昨夜から服選んでたんだ」

お父さんがニヤニヤ笑いながら言うと。

「もう!お父さん!」

千秋は真っ赤な顔をして、お父さんの背中をバシン!と叩いた。

おじさん。

おじさんのそういうとこ、トモが似てきてますよ…。