用件を告げると、千秋とトモは小突きあいながら帰っていった。

そんな二人を笑いながら見送った後。

「…!」

俺はダダダッ!と階段を駆け上がり、自室のクローゼットを開く。

さー大変だ!

千秋と遊園地だって!?

そりゃあトモと千秋んとこのお父さんも来るんだろうけど、これは…ほぼデート、という奴ではないんだろうか?

「千秋と、デート…」

言葉にすると、顔が熱くなる。なのににやけてくる。

こうしていられない。

当日には何着ていくんだ!?

変な格好してたら、千秋に嫌われるんじゃないか!?

くそ、最近服なんて無頓着だったからな。

今からなんか新しいの買った方がいいか!?

中学になってすっかり色気づいてきた俺は、生意気にデート…のつもり…に着ていく服について、アレコレと悩み始めた。

そりゃそうだろう。

人生初のデート。

しかも、千秋とのデートだぞ?

気合入るに決まってるじゃないか。