そういえば、俺が高校に上がるって事は、千秋も中学に上がるって事じゃないか?

「千秋も今年の春から中学だよな。おめでとう」

そう言うと。

「え…あの…ありがと…」

面食らったように、千秋は俯いていた。

まだまだ小学生のままのトモは仲間外れ。

蚊帳の外で、ちょっと不満そうだ。

「そ、それでね」

ちょっと寄っただけ、という割には、千秋は何か話を切り出そうとしていた。

「私ね、今度の日曜日に、お父さんに遊園地連れてってもらうの。中学の入学祝い代わりに」

「へぇ」

隣県にある、何とかっていう、ここらでは一番大きな遊園地らしい。

「それでね…」

おずおずと、上目遣いに千秋は俺を見る。

「こうちゃんも…一緒にどうかな…?」

「え?」

俺は目を丸くした。

「俺も行っていいのか?遊園地に?」

「うん」

少し…いや、かなり赤い顔をして、千秋は頷いた。

「トモ…そう!トモがね、こうちゃんも誘おう誘おうってしつこくて!」

「うえっ!?」

トモは濡れ衣だとばかりに反論する。

「何だよ!姉ちゃんが、こうちゃんに会いたい会いたいって…もがが…!」

慌てて千秋がトモの口を塞いだ。

おいおい、放してやれ。

トモが窒息するぞ。