…どれくらい経っただろう。


いつの間にか寝てしまっていた。
時間を見ると、
もう11時30分を回っていた。


「タッ…タッ…タッ…」


廊下から、足音が聞こえた。

次第に大きくなった足音は止まり、
ドアを開ける音が鳴る。


「失礼します。」


…誰だろう?

聖護じゃない。
でも…

聞き覚えのある声だ。


声の主は、
ゆっくりとベッドの方へ近付いてきた。



「橘先輩、具合はどうですか?」


「あっ、龍…?!ど、どうぞ入って!!」


藤堂 龍(とうどう りゅう)。
隣の家に住んでいる、あたしの幼馴染。

1つ下の後輩で、
春から白雪に入学してきた。


「どうも。…どうですか調子は?

いきなり倒れたので、驚きましたよ。」


「…ごめんね龍。

ここまで運んでくれたんだってね…?
ありがとう。」


あたしは、感謝の気持ちを込め、
深く一礼した。


「辞めて下さい、そんな。

それより、元気そうでなによりです。」


どうやら、
心配して様子を見に来てくれたようだ。