「正臣ー」

隣のクラスを通るときに聞こえてくる女子の声。



まあ、分かってた事なんだけどさ。

誰でも仲良くなって、男女関係無く喋ったりして。

想像してた以上にクラスが違うと距離が出来ちゃうんだ。

まきなんか、3年になって喋ったことないんだよ?

それなのに正臣は横を通るまきのことなんてどうでも良いって顔してさ。

気付きもしないし。





ズキズキと胸が痛んだ。




「もぉ、まきちゃん、嫉妬するなよ」

たまたま廊下にいた吹部のメンバーにからかわれる。

咲ははてなマークを頭に浮かべている。

ばれる・・・かな?



「え、正臣?」



と、顔を覗き込まれて嘘をつけるわけも無く。