「先生も聞いたことがあるでしょう?
 今、海外で活躍している近森なみ。」


「ああ。
 この間も大きい大会で優勝したとかいう・・。」



「その子が鈴木なみです。
 養女に出て苗字は変わっているけれど。」



なみに会いに行ったとき、彼女は
私に走り続けてと言った。

自分の事なんて気にしないでほしいと。



だけど私はその次の大会から出なかった。
陸上からも離れた。


なみのため?
違う、ソティの言葉が走るたびに頭の中に響いて。
走れなくなった・・・。


勿論、鈴木兄妹とは連絡も取らないし、あっても無視していた。



「走れないストレスからだと思うんですけど、過食に走っちゃって。
 二人との最後も原因だとは思うけど。
 走りたくても、走れないんです。」