「・・・お父さん。」




交通事故で即死だった。

反対車線からやってきた車との正面衝突。
しかも相手は飲酒運転ときている。




「梨香子、出るか?」


「・・・大丈夫だよ。
 ごめん、智香子の様子見てて欲しい。
 あの子にはまだ、荷が重すぎる。」



あの年で【別れ】なんて、受け止められるはずがない。
智香子には、私のような人間にはなって欲しくないから。



「わかった。」



敦君はみなまで言わなくても、わかってくれているから。
昔のように、頭に手を置いて。