壮絶な話が語られていく。

私はただ静かに恵一の話に耳を傾けていた。

恵「刃物が僕に振り下ろされる直前、

  誰かに抱きしめられました。

  僕は恐怖からか、

  そのまま意識を手放しました。

  そのあとのことは、聞いた話でしか

  ないんですけど…。

  僕を庇ったのは……魁人兄さんだった。

  父はその場で自殺したらしいです。

  魁人兄さんも、亡くなりました。

  傷は、結構深かったらしくて…」