――――ゴンッ






「ってーー!」






そんな様子をボーッとみていたせいか、運の悪いことに野球ボールが飛んできて負傷している俺のスネに当たった。









「す、すいません!」


ボールを慌てて拾いにきた野球部員が俺に頭を下げながら帽子を取った。



あ…。



雄也とかいう奴じゃん。








実は、こいつも鈴木の標的にされてる一人だ。





父親が人を殺したとかいう犯罪者で刑務所にいれられているらしい。







「大丈夫大丈夫。はい、ボール。」



そうこうしてる内に少し痛みがおさまってきて、相手にまた情けない姿を見せずに済んだことにホッとしながら、ボールを差し出した。






「ありがとう!」





そいつは安心したようにボールを俺から受け取り、走って練習場所に戻って行った。






普通の青年じゃんか。










鈴木の標的とされてるのは、俺と今の野球部員をふくめ5人だ。





それぞれ顔が悪いわけでもないし、ダサいわけでもない。








だけど、多分みんなイジメられる理由は何かしらあるんだろう…。





実際、俺は親友を裏切ったことからイジメは始まったし。





しかも当時俺と鈴木は、仲が良かったというのがあまりにも残酷で。








神様は俺に何を求めているのだろうか。