「ここだよ」

「カフェ・コスモス…?」

店名までもがこの通りの雰囲気をとくりだしてるんだなー。
咲良は思わず感心してしまった。

恵が扉を開くと、チリンチリンと鈴の音が鳴った。
その音が店内に響くと、テーブルのあるホールの奥にある厨房らしき場所から、男の子がやってきた。

「…いらっしゃいませ」

その少年は、いかにもカフェの店員らしくワイシャツに黒のジーパン、腰に巻き付けるタイプの前掛けを着用し、短いストレートの黒髪を横髪だけ黒いヘアピンで留めていた。
見た目はと言うと、背は175センチ以上ありそうな感じで、誰の目から見ても形容するならば「かっこいい」…その一言で表せられる。
だが、しかし…

「お席はお好きなところにお座りください」

ホールスタッフだろうが、その少年の言葉は淡々としており、態度にも温かみというものが感じられなかった。
一言で言うなら、無愛想だった。