学校の校門を抜け、数分が経過した。
恵によると、恵の母が経営するカフェは学校から近く、もうすぐで着くらしい。
学校から家の遠い咲良は、帰りが遅くなると親が心配するからといつも寄り道をせずにかえっていた。
カフェ巡りをするのは、いつも休日で、それも自分の家から近いところにあるカフェを巡っていたため、学校付近にカフェがあるということは全く持って知らなかった。

とある信号を右へ曲がると、雰囲気は一気に変わった。
今まで桜並木の道を歩いていたが、そこの通りは可愛らしい雑貨屋やケーキ屋、若者向けの衣服が売っているショップなど、若い女の子が好きそうな店が連なっていた。

「すごー…なんか、可愛い!」

咲良は思わず辺り一帯をキョロキョロと見しながら歩いていた。
こんなにメルヘンチックな通りがこの世に存在するんだと驚きを隠せない。