放課後。といっても、今日は登校初日なため、学校は3時間目で終わった。今日はまだ掃除当番が決まってないから。と、掃除をしなくても良いと言うことで、3時間目終了と同時に帰ることが出来た。

このときを待ってた!と咲良はあやうく口に出してしまいそうなほどテンションがあがっていた。初めて会ったばかりのクラスメイトからのいきなりのお誘い。疑うという選択肢は咲良の中には存在していない。あるのはただ、ご馳走!というただそれ1択だけだった。

軽く駆け足で鞄の中を整理していた恵の方へ寄っていった。恵は、近づいてくる咲良の足音に気がついて足音がする方を見た。が、そのとき、咲良はあまりにも頭がご馳走!ご馳走!とそれ以外のことに注意を向けていなかったため、恵の1え前の席を通り過ぎたところで何もないのにつまづいて「うえっ!?」という言葉を発して盛大にすっころんでしまった。

「大丈夫かい?咲良。今こけたところには何もなかったよ?」

こけた痛みで、はっ!と我に返った咲良は、ほらっ。と手を差し伸べてくれた恵の手をゆっくり取った。今自分がご馳走!のことで頭がいっぱいでこけた事実に急に恥ずかしくなり、俯きながら大丈夫!ありがとう!と恵に考えてたこと
がバレないように返事をして誤魔化すためにへへっと笑った。

そんな咲良を見て本当にわかりやすいなーと恵は思ったが、こけた理由には触れずにクラスの壁に掛けてある時計をちらっと見て、それじゃ行こうか。と咲良の前を歩き出した。